山では、丁寧な所作がトラブルを減らす

ザックのレインカバーを上下逆につける人
最近、ザックのレインカバーを上下逆につけて歩いている登山者を見かけた。その日はガスが出ていて、ときおり小雨が降る程度だった。土砂降りの中カバーを慌ててつけるような状況ではなかったはず。
どうして上下を逆につけてしまうんだろう。確かにレインカバーは上下逆でも機能する。ものによってはザックの形に合わせてあり、上下で線対称ではないものもあるが、小雨程度であれば機能の効果に違いは出ないだろう。最も大きな違いはロゴが逆になるというくらいだ。そして、そのロゴは後ろにいる人からとてもよく見える。つけるときに気づかないのか、気づいても気にならないのか、どちらにせよ不思議だった。
(レインカバーの上側に穴が空いてしまって応急処置的に穴が空いてる方を下にしたのかもしれないが、レインカバーはピカピカで、破れてるようには見えなかった)
細かいことが気にならないことの弊害
細かいことが気にならないというのは、日常ではあまり問題にならなくても、山ではたびたび問題を引き起こす。以下に実際に自分に起こった例をあげる。
- 手袋とハンカチを同じポケットに雑に入れていたところ、ハンカチを出した拍子に手袋も一緒に落ちてしまい、気づかずに紛失。
- バックカントリーで滑走後にヘルメットを外し、ゴーグルをヘルメットにつけたままザックに装着してハイクアップしていたら、知らないうちに雪が付着し、次の滑走でゴーグルが曇る。
- 山に入るときにリーシュをつければいいだろうと、面倒でリーシュをつけずにザックに外付けした道具が、山へのアプローチ中に落下。
- フライフィッシングのラインが弱っていたが、次釣れた後に交換すればいいやと思っていたら、魚に切られて釣果を逃す。
- いつもは行動食用の専用の袋に入れるカトラリーを、山への道中コンビニで買ったもののレジ袋に入れていたら、宿でゴミと一緒に捨ててしまった。
などなど。ネット上では、下山後に登山靴の靴紐を緩め、余った部分を適当に靴に押し込んで歩いていたら、歩いているうちに靴紐が出てきてしまい、それを踏んで転倒、怪我をした事例なども見られた。
一見なんてことないような雑な所作が、ちょっとしたトラブルを引き起こす。そういったトラブルの積み重ねがいつか大きな事故に繋がりかねない。手袋の紛失は場合によっては致命的になりうるし、ゴーグルの曇りによる視界の悪さも山では命に関わる。
バックカントリーではスキーの登行能力・滑走能力を前提として雪山の奥に入るため、道具のトラブルは命取りになる。そのためモードチェンジ(滑走とハイクアップの道具の切り替え)などでは特に丁寧に作業をする。
山歴が長いとある友人は街ではかなり大雑把だが、山では細かい点をよく指摘している。意識してか無意識かは分からないが、それがトラブルを防ぐと知っているのだろう。(彼は山と街で意識的に性格を切り替えられるような器用な人ではないので、自然とやっているのだと思う。)
登山者が意識すべきこと
実に基本的で当たり前のことだが、「丁寧に行動する」これに限る。
- 面倒くさがらない、後回しにしない
- やるべきときにやるべきことをする
- 楽観的になりすぎない
こういった意識による行動の積み重ねが安全な登山を下支えするのだと思っている。ザックの中のものをガサガサと探していたり、自分だけ休憩から出発までの時間が長かったり、忘れ物や落とし物が多かったりするときは一度行動を見直すといいのかもしれない。
レインカバーの上下なんて別に関係ないと思わずに、丁寧な所作をひとつひとつ淡々とこなすべきだ。
自戒の念も込めて、最近感じたことを書いた。安全に山を楽しみたい。